医療現場では、日常生活ではあまり関わることのないような部品や製品が数多く存在しており、それら一つひとつを形作る素材や部品も日々製造されています。
そこで今回は数多くある医療用部品の中でも「医療用チューブ」に絞り、その種類や素材などをご紹介していきます。
■医療用チューブの特徴
医療現場では、患者さんへの検査や治療において、薬剤を注入したり血液や組織を採取したり、体内に針を指してアプローチしたりとさまざまな処置がなされています。そういった処置の際に使われているのが医療用チューブです。
とはいえ、医療用チューブと一口に言ってもさまざまな種類があり、その用途ごとに必要な長さや太さが異なります。
■医療用チューブの材質
では、医療用チューブに使われている材質にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介します。
▼ステンレス
ひとつ目がステンレス。ステンレスとは、鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金で、SUSと表記されている場合もあります。
またステンレスの中でも、カーボンを0.1〜0.4%、クロムを12〜18%を含んでいる「マルテンサイト系」、カーボン0.15%以下、クロム16~20%、ニッケル8%以上を含む「オーステナイト系」、ニッケルを含まない「フェライト系」などといった形でさらに分類され、それぞれの特徴を生かした加工がなされています。
ステンレスは錆びにくく強度があり、汚れや熱に強いことから、過酷な環境でも使用される医療現場において重宝されている材質といえるでしょう。
▼フッ素樹脂
二つ目がフッ素樹脂。フッ素樹脂は、撥水性、非粘着性、潤滑性、耐薬品性、さらに高耐候性、耐熱性、難燃性や優れた電気特性とさまざまな特性を有していることが特徴です。
▼ポリエチレン
三つ目がポリエチレン。いわゆるプラスチックと呼ばれるもので、点滴チューブなどに使われることが多い材質です。ポリエチレンは軟質と硬質に大きく分けられ、軟質の場合は軽量で安価、硬質の場合は肉厚で丈夫という特徴があります。
■医療用チューブの使用用途
では、医療用チューブは実際の医療現場でどのような用途で使用されているのでしょうか。
▼注入針として
細かな技術が必要とされる医療用ステンレスチューブは、各種注射針として使われることが多く、さまざまな太さや形状の注射針に用いられています。
注射針には、注射針ゲージ規格というものが存在しており、太さがG(ゲージ)という単位で表されます。ゲージの値が大きくなれば大きくなるほど注射針は細くなるのが特徴で、医療現場で主に使われている注射針は、16G(外径1.6mm)~27G(外径0.4mm)と言われています。
▼脳外科用コネクタとして
カテーテルで治療をする際など、ガイドカテーテルに接続し、操作の補助などを行うコネクタにも医療用チューブが用いられています。
▼血管造影用チューブとして
先ほど説明した血管造影(=カテーテル)用のチューブとしても医療用チューブは使われています。
血管造影とは、脳や心臓の血管の状態を詳しく観察するための検査のことで、カテーテルと呼ばれる細い管を血管に挿入し、造影剤という薬を管から注入して撮影するものです。
▼気管内チューブ
主に気道確保や誤嚥防止を目的とする気管内チューブにも、医療用チューブが使用されています。気管内チューブは挿管チューブとも呼ばれ、経鼻または経口で挿入し、昏睡状態や心肺停止、全身麻酔を行う際など、人工呼吸管理が必要とされる時に用いられます。
▼栄養チューブ
食事や水分など、口から栄養を摂取することが難しい患者さんや、誤嚥の危険性がある患者さんに対しては、チューブを通して栄養補給をする方法を取ることがあります。その際に使用されるのが栄養チューブです。
▼泌尿器用チューブ
栄養補給だけではなく、排泄に関しても医療用チューブが重宝されています。尿を排出するため尿道から膀胱へと挿入するのが泌尿器用チューブです。
■医療用チューブなら手島精管株式会社
こういった形で、さまざまな用途で医療用チューブは使われています。材質によって特性や強みが異なるため、専門的な工場でそれぞれに合った形で加工され、組み立てられ、そして医療機関へと運ばれているのです。
群馬県館林市を本拠地にする手島精管は、お客さまからの細かなニーズに応え、品質を追求してきた結果、7000種類以上もの注射用ステンレスチューブを世に送り出してきました。多品種、特殊加工に対応し、高品質・高精度なステンレスチューブを提供しているところが強みです。
弊社が作る注射針用ステンレスチューブの外径中心は、最少のもので0.127mm。医療のために必要不可欠な部品の生産を担っているのが特徴です。医療用チューブについて興味がある方は、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。