製造業において欠かせない工程である「加工」。特に部品などにおいては“加工”が必須であり、金属などの材質を加工して作り、それらを組み立てることで世の中を動かす製品が出来上がっています。
とはいえ、加工と一口に言ってもさまざまな加工方法があります。適切な加工方法を用い、細やかで質の高い技術によって一つひとつの部品が完成しているといえます。そこで今回は、製造業に欠かせない加工の種類を紹介します。
■加工の種類
加工にはさまざまな種類があり、目的の製品や使用する材質の特性などによって、用いる加工の種類が異なるのが特徴です。
ここでは、主な加工の種類をご紹介します。
▼機械加工
機械加工はその名の通り、機械を使って材料を加工する方法。ドリルで穴を開ける加工や、電動ノコギリを用いて材質を切断する加工も機械加工のひとつといえます。機械加工は、主に除去加工・成形加工・結合加工という主に3つに分類できることが特徴です。
「除去加工」は、材料における不要な部分を削り取る加工のこと。材料や工具を回転を利用して削る切削加工、砥石を高速で回転させて、材料の表面を削りながら加工を行う研削加工、滑らかな表面に加工する研磨加工、工具や砥石を使用せず材料を加工する特殊加工を総じて「除去加工」と言います。
「成形加工」は、熱や力を加えて材料を目的の形に成形する加工のこと。大きく分けて塑性加工と鋳造加工に分けられます。塑性加工は金属の性質を活用した加工方法、鋳造加工は溶かした金属を型に流し込み、冷却して固めて成形する方法を指しています。
「結合加工」は、材料と材料をつなぎ合わせる加工方法。切ったり削ったりするだけではなく、つなぎ合わせて作る加工方法も機械加工のひとつです。
また、機械加工に使用する機械をまとめて「工作機械」と呼びます。材料を切る機械をはじめ、材料を削る機械や材料を溶かして固める機械、穴を開ける機械などを総称した名称です。工作機械は一つひとつできる加工が異なるため、目的の形状や加工する材質に合わせて工作機械を選ぶ必要があります。
▼塑性加工
機械加工のひとつである塑性加工とは、加工できる材料に型を押し付けて形状を作る加工方法です。
「塑性」の対義語は「弾性」。金属は一般的に力を加えると元に戻ろうとする「弾性」という性質を持っているため、加えていた力を外すと元の形状に戻ります。一方で「塑性」は力を加えて変形させても元に戻らない金属の性質。これを用いているのが塑性加工です。
主に自動車部品や鋼の加工に用いられることが多いことが特徴。プレス加工や鍛造、転造なども塑性加工に含まれます。
また、加工温度と加工方法で分類でき、それぞれ目的に応じて使い分けできることも塑性加工のポイント。常温で行う「冷間(れいかん)塑性加工」と、加熱して行う「熱間(ねっかん)塑性加工」が存在します。
金属は加熱すると熱膨張とともに変形する性質のため、できる限り「冷間塑性加工」で行い、加工する材質が硬い場合に「熱間塑性加工」を用いられることが多いといえます。
▼精密加工
精密加工とは、一般的な機械によって得られる精度よりも高い寸法精度や面粗度を得るための加工のこと。具体的な精度の定義は定められていませんが、最大で1/1000mmにおける加工精度を達成できる加工のことを指しています。
一次加工として機械加工を行った後に、材料や用途に応じた精密加工を行い精度を高めていくのが一般的。精密加工によって作られた部品は、産業機械や自動車・航空機におけるエンジン、医療製品などに用いられていることが多いといえます。
手島精管のステンレスチューブではこの精密加工を用いています。
▼超精密加工
明確な定義はないものの、精密加工よりもより精度の高い加工とされているのが超精密加工です。半導体や光学レンズなどに用いられることが多く、さらに高度な技術力が求められるのが特徴といえます。
▼微細加工
微細加工とは、金属・樹脂・マシナブルセラミックスなどの材質に対し、マシニングセンタや放電加工機などを用いて非常に細かい加工を行うこと。
微細加工に近いものとして先ほど紹介した精密加工があります。細かさや精度に明確な基準がないため大きな違いは存在しませんが、微細加工の方が精密加工に比べて細かいものを指しており、主に100μm未満からを微細加工と呼んでいることが多いです。
■精密加工と超精密加工の違いとは?
精密加工とは、先ほどお伝えした通り、最大で1/1000mmにおける加工精度を達成できる加工のこと。対して超精密加工は、最大で1/1000μmというスケールにおける加工精度を達成できる加工のことを指しているのが一般的です。
具体的な定義は設定されていませんが、精密加工よりも超精密加工の方が高い技術を求められるため、手掛けられる企業が少ないことが特徴です。
■高い技術力でステンレスチューブを生み出す手島精管
群馬県館林市を本拠地にする手島精管は、お客さまからの細かなニーズに応え、品質を追求してきた結果、7000種類以上もの注射用ステンレスチューブを世に送り出してきました。現在では、医療用ステンレスチューブ製造において世界トップクラスの生産量を誇る企業に成長し、世界中の医療を支えています。
そして、医療注射針分野をベースに、他マーケットでの多品種、特殊加工、高品質、高精度製品へ対応しています。
また、特にステンレスチューブにおいては、医療や自動車など人々の命に関わるもののため、精密加工をはじめとした高精度な技術力が求められます。手島精管は、50年以上ステンレスチューブ製造のプロとして歩んできたからこその安定感と高い技術があることが強み。世界マーケットを視野に入れ、さらなる高みを目指して技術開発を行っています。